
【簡易レビュー】SwitchBot スマートサーキュレーターを Home Assistant で使う【ローカル制御】
みなさんこんにちは、たいくんです。
いつの間にか、Home AssistantのSwitchBot Bluetooth統合でスマートサーキュレーターのサポートが追加されていることに気がついて購入してみたので、実際に使ってみてどんな感じなのか、簡易的なレビューをお届けします。
前置き
SwitchBot スマートサーキュレーターとは?
SwitchBot スマートサーキュレーターはSwitchBotから発売されている、その名の通りスマートフォンなどから操作可能なスマートファンです(ちょっとややこしいw)。
2023年末ごろに発売されたもので、特別新しい製品ではありません。
通信方法はBluetooth Low Energy(BLE)で、SwitchBot ハブ2などのハブと組み合わせることでスマートスピーカーから操作したり、外出先から操作したりできるようになります。
ちなみに、今回はHome Assistantと使うため、SwitchBotのハブがなくてもスマートスピーカーから操作したり、(Home Assistantサーバーを適切に外部に公開している場合に限るものの)外出先から操作したりすることができます。
今回購入したもの
SwitchBot スマートサーキュレーターにはバッテリー搭載で充電式の「SwitchBot スマートサーキュレーター」とバッテリー非搭載でAC電源接続式の「SwitchBot スマートサーキュレーター Lite」がありますが、今回はバッテリー搭載の方を購入しました。
これらの違いはバッテリーとUSB Type-Cコネクタを搭載しているかどうかの違いだけで、他に大きな違いは無いはずですので、どちらを選んでもHome Assistantで使用できると思います。
実際に使ってみる
開封とセットアップ
開封

軽く開封の様子をお届けします。
箱はこんな感じです。結構大きな箱です。後ろに置いてある27インチのiMacを見ていただくと大きさの感じがわかると思います。

箱から本体を取り出したところです。あまり大きさを調べずに買ったのですが、想像よりも一回り大きくてびっくりしました。

袋から取り出したところです。結構かっこいいデザインです。

本体の後ろ側です。底面にUSB Type-Cコネクタと電源ケーブルを接続するコネクタ、そして主電源のスイッチが付いていました。

付属品は電源ケーブルとリモコンのみです。リモコンはこんな感じで、非常にシンプルです。
このサーキュレーターは付属の電源ケーブルで充電する以外にも、USB Type-Cコネクタにお持ちのケーブルを接続することでもサーキュレーターを充電することができます。
外出先に持っていく際などは、わざわざ電源ケーブルを持っていかなくても普段使うケーブルで充電できるのは便利そうです。
SwitchBotアプリでのセットアップ
Home Assistantで使うだけであればSwitchBotのスマホアプリに登録しなくても使うことができますが、自分の場合はアプリでも使う可能性があるため、SwitchBotのアプリにも登録しておきました。
セットアップ自体はめちゃくちゃ簡単で、サーキュレーターの主電源を入れた後、操作パネルの運転切り替えボタンを2秒間長押しするとランプが点滅するので、その状態になるとアプリでサーキュレーターが検出され、すぐに登録されました。
このタイミングでHome Assistantの「発見」にもサーキュレーターが検出されていました。

アプリのホーム画面からサーキュレーターをタップするとこのような画面が表示されます。
運転切り替えボタンとモード選択ボタンが表示され、基本操作は簡単に行えます。

「操作設定」を開くとこのような画面が表示されます。サーキュレーターがオフの時は常夜灯以外の操作項目が非表示になります。

サーキュレーターをオンにすると、モード切り替えや風量、首振りの設定などが表示されるようになります。

首振りは上下と左右でそれぞれ設定することができ、首振りのオンオフ以外に、好きな方向に少しずつ動かしたり、中央に向けたりすることができます。

右上の歯車アイコンをタップすると、その他の設定を開くことができます。
ここからランプの点灯設定や操作時のビープ音を鳴らすかどうかといった設定を変更することができます。
「自動で中心に戻る」をオンにすると、サーキュレーターを止めたときに自動で中心を向くようになりますが、運転を止めるたびに正しい位置を検出するためにキャリブレーションが行われるようで、中心に戻って停止するまで少し時間がかかります。
Home Assistantでのセットアップ

Home Assistantへの登録もとても簡単です。
Home AssistantでBluetoothが使用できるようにしている必要がありますが、統合設定を開くと自動的に検出されたサーキュレーターが表示されるので、「追加」をクリックすると追加することができます。
追加の手順は必要ありません。
追加したデバイスには、以下の3つのエンティティが追加されるようです。
- ファン
- バッテリー残量センサー
- スマートサーキュレーター Liteでは追加されない可能性が高いです。
- Bluetooth信号センサー
- このセンサーはデフォルトで無効化されています。

ファンの詳細画面からは運転切り替えボタン、風量スライダー、プリセットモード一覧、首振りモード一覧が表示されます。
プリセットモード一覧には次のものが表示されます(画像はHome Assistant 2025.5なので英語ですが、2025.6では日本語で表示されます)。
- ノーマル
- ナチュラル
- スリープ
- 赤ちゃん
首振りモードは「はい」か「いいえ」のみでした。
首振りモードを「はい」にすると左右の首振りがオンになります。現時点では上下の首振りは設定できないようです。
Matterで追加してみた

SwitchBot ハブ2を持っているので、Matterで追加するとどのように表示されるのか確認してみました。
SwitchBotのアプリから設定するのですが、記事執筆時点では「ラボ機能(ベータ版)」として用意されていて、別の種類のデバイス(非ネイティブ型)として表示される機能を使って設定することができるようです。
実際に試してみたところ、オンオフのみが可能なスマートプラグとして表示されました。

HomeKitでも同様にスマートプラグとして表示されました。
Matter 1.2以降ではデバイスの種類として「ファン」が対応しているのですが、現時点でのSwitchBot ハブとスマートサーキュレーターの組み合わせではMatter 1.0か1.1までなのかもしれません(だからまだベータ版としての提供なのかも?)。
今後のファームウェアアップデートで最新のMatterに対応することを期待しています。
HomeKitでも操作できるようにする
Homebridgeのプラグインは記事執筆時点ではOpenAPIを使ったクラウド経由での制御にしか対応していないようなので、Home AssistantのHomeKit Bridge統合を使うことにしました(過去に作成したブリッジがあったため、既存のブリッジにファンを追加しました)。
詳しい方法については過去に記事を書いているので、そちらをご覧ください。

ファンエンティティを1つ追加したところ、このように複数のスイッチが集まったアクセサリが1つ追加されました。
このままでは少し使いづらいので、アクセサリの設定画面にある「個別のタイルに表示」を選択してアクセサリを分けます。

すると、ファンのアクセサリと4つのスイッチに分かれるので、使いやすくなります。

追加されたスイッチはプリセットモードのスイッチで、HomeKitからプリセットを変更できるようです。
しかし、このままではスイッチが4つも追加されて少し邪魔なので、グループアクセサリに設定しました。
これにより、プリセットの変更は少し面倒になった(グループアクセサリの詳細からアクセサリ一覧を開いてプリセットを変更する必要がある)ものの、1つのスイッチアクセサリとして表示されるようになるため、表示されるスイッチの数を減らすことができます。
個人的にはプリセットを使う事はほとんどないため、特に問題はありません。
ちなみにグループアクセサリになっていても、グループ内のアクセサリ名を操作するようにSiriに頼めば、音声でプリセットを変更することができます(例えば「natural」のスイッチ名を「ナチュラルモード」に設定し、「Hey Siri、”ナチュラルモード”をオンにして」などと呼びかけて操作する)。
簡易レビュー
良いところ
ファンが静か
このサーキュレーターは動作音が非常に静かです。
風量にもよりますが、大体20%あたりぐらいまでであれば、少し離れれば風の音はほとんど聞こえなくなります。
また、風を強くすると風の音は大きくなりますが、耳障りな音ではないため、あまりうるさくないのがとても良いところだと思いました(エアコンの種類にもよると思いますが、私が使っている少し古いエアコンの風量を最大にしたときの方がうるさいと感じました)。
風を送る羽根もサーキュレーターとしては少し大きめなので、風量を低めにしても十分に風を感じることができるため、デスクに設置して静かな環境で涼しみながら作業を行うことができます。
風量を無段階で調節できる
このサーキュレーターは無段階で風量を調節することができます。
一般的なサーキュレーターでは風量が数段階しか変更できず、「強と中の間くらいの風が欲しい」と思ってもちょうどいい具合に調節することができませんが、このサーキュレーターではアプリから1%単位で風量を調節することができます。
そのため、簡単にお好みの風量に調節できるのが良いところだと感じました。
先ほど、「風量を低めにしても十分に風を感じることができる」と紹介しましたが、細かく風量を変更できるため、非常に弱い風に設定することもできます。
そのため、「直接風が当たるのは好きじゃないけど、ほんの少しだけ空気の流れが欲しい」といった場合でも対応できます。
また、プリセットの1つである「赤ちゃん」モードにすれば風が非常に弱くなるため、ほんのかすかな風が欲しい場合にちょうど良いでしょう。
最大にするとそこそこ風が強い
風量を最大にすると、あまりうるさくないのにもかかわらず、そこそこ強い風が出てきます。
もっとコンパクトでより強い風が出るサーキュレーターはありますが、ほとんどの場合はそんなに強い風を出す必要は無いため、これだけの風が出てくれば個人的には十分だと思います。
このサーキュレーターは羽根が大きめなこともあり、結構遠くまで強い風を運ぶことができるため、ただ風が強いサーキュレーターよりも部屋の空気を均一にすることができているような感じがしました。
首振りの位置を細かく制御できる
このサーキュレーターは横の首振りと縦の首振りの2種類があり、一般的なサーキュレーターでは首振りをするかしないかの2択でしか設定できないものが多いですが、このサーキュレーターはアプリから向きを細かく変更することができるのが便利だと思いました。
特に、私は重度の身体障害を持っているため自分の手で風の向きを変えることができないのですが、このサーキュレーターであればアプリから好きな方向に変更できるため、大変便利だと感じました。
残念なところ
操作の反応が悪い時がある
この問題はこのサーキュレーターを初めて使ったときにすぐに気づいたことですが、ネットワーク経由から操作したときに反応が悪いことがあります。
これはSwitchBotのアプリからでもHome Assistantからでも同じですが、最後の操作から少し時間が経ってから操作しようとすると、サーキュレーターに接続するまでに少し時間がかかります。
大体、操作を行ってから3〜5秒ほどかかることが多いです。
一度操作を行ってしまえば直近の操作はスムーズに行くことが多いですが、それでも時々反応がつっかかるような感じがあります(ごく稀ではあるものの、ひどいときには30秒近くかかることもある)。
実は、この問題はHome AssistantでSwitchBot ボットを使っているときにも起こっていますが、この反応の悪さは地味にストレスを感じる問題です。
特に、設定でビープ音をオフにしていて、音声で操作したときに反応が悪いと操作に成功したのか失敗したのかがわかるまで時間がかかるため、結構イラッとする時があります。

このサーキュレーターを操作する際、Bluetoothアダプタの接続スロット割り当てモニターを見ていると接続スロットが使用されていることがわかりました。
つまり、このサーキュレーターはアクティブな接続を必要とするデバイスであり、しばらく操作していないとアクティブな接続が切断されるため、再接続するのに少し時間がかかっているようです。
SwitchBot ボットを操作するときにも確認してみたところ、やはり同じく接続スロットが割り当てられていたため、こちらも反応が悪いのは同じような理由である可能性が高いです。
どちらもバッテリー駆動のBluetoothデバイスであるため、仕方がないことなのかもしれません…
電源ケーブルが抜き差ししづらい
このサーキュレーターの電源コネクタは底面についているため、ケーブルを抜き差しするにはサーキュレーターを持ち上げる必要があります。
しかも、コネクタは結構奥にあるため、かなり抜き差ししづらいです。
そのため、せっかくバッテリーがついていてどこでも使えるのがメリットなのに、ケーブルが抜き差ししづらいせいであまり頻繁に持ち運びたいとは思えません。
コネクタを抜き差ししやすい場所に移動させるか、専用の充電台のようなものがあるとより便利になるだろうと思いました。
ビープ音が大きい
デフォルトではサーキュレーターを操作したときにビープ音が鳴りますが、この音が結構大きいです。
設定を変更するたびに大きな音が鳴るため、細かい調節時にかなりうるさく感じます。
そのため、私はアプリの設定から音を鳴らないように設定しました。
設定では音を鳴らすか鳴らさないかのどちらかしか設定できないため、音量を変更することができたら良いと思いました。
首振りがあまり下を向かない
このサーキュレーターは横の首振りに加え、縦の首振り機能にも対応していますが、上方向では真上まで向くことができるものの、下方向の場合は真正面よりわずかに(2〜3°ぐらい?)下までしか向きません。
高い場所に設置した際、下方向に風を送ることが全くできないため、せめて斜め下ぐらいまで向いて欲しいところです。
首振りが遅い
サーキュレーターは部屋の空気をかき混ぜるためのものなので首振りが遅いのはある意味正常だとは思いますが、もう少し首振りの速度を速くするか、アプリで速度を調節できたら良いと思いました。
一般的な扇風機よりもかなり遅いため、目的の方向に動かすまで少し時間がかかります。
あまり大きな問題ではありませんが、少し気になるところです。
首振りの位置をプリセットで設定できると良い
このサーキュレーターはアプリから首振りの位置を細かく制御することができますが、設定した位置を記録して、ワンタップでその位置に動かせるようにする機能があったら良いと思いました。
設定で「自動で中心に戻る」機能をオンにすると、運転停止時に中心点を見つけるためのキャリブレーションが行われますが、この機能を応用すれば向きを保存して後からその向きに変更することができると思うので、そのような機能が追加されたら大変便利になるだろうと思いました。
Home Assistantで操作できる項目が少ない
これはこのサーキュレーターの問題というよりもHome Assistantの統合の問題ですが、記事執筆時点では基本操作のみで、縦の首振りなどを操作したり、動作の設定を行ったりすることができません。
このサーキュレーターがHome Assistantでのローカル制御に対応したのは最近なのでまだ機能が少ないのは仕方がないことだとは思いますが、今後のアップデートで操作できる項目が増えることに期待しています。
最近のSwitchBotはHome Assistantへの対応を強化しているようなので、そう遠くないうちに対応してくれると嬉しいですね。
Bluetoothのセキュリティ機能がない(重大)
最後に、重大な問題点をご紹介します。
このサーキュレーターはBluetoothを使って操作を行いますが、Bluetoothの通信に暗号化が行われていないため、特別なペアリングなしにサーキュレーターを登録することができてしまいます(ペアリングモードにしなくても、別のHome Assistantインスタンスに検出され、登録・操作できてしまうことを確認しました)。
つまり、サーキュレーターが発するBluetooth信号の範囲内に悪意のあるユーザーがいた場合、勝手に登録されて操作されてしまう危険性があります。
誰でも登録して制御することができてしまうため、かなり重大な問題だと言えるでしょう。
同じくBluetoothを使って制御するSwitchBot ロックシリーズには暗号化機能があり、暗号化キーがないとBluetooth信号の範囲内にいても操作することはできませんが、このサーキュレーターにも同様の暗号化機能が追加されると安心して使えるようになると思いました。
さいごに
今回は、SwitchBot スマートサーキュレーターをHome Assistantで使ってみた結果と簡易的なレビューをお届けしました。
まだ少しの間しか使っていないため、後からさらに良いところや残念なところなどが出てくるかもしれませんが、この記事を書いている段階では「そんなに悪くない製品」だと思っています。
この記事では残念なところの方を多く書いていますが、実際に使っている感じだと多くは重大な問題ではないですし、そもそもローカル制御できるスマートファン自体がかなり少ないですから、それだけでも大きな利点だと思います。
唯一、Bluetoothのセキュリティ機能がないのは最も残念なところではありますが、今後のファームウェアアップデートによって暗号化機能が追加されることを期待しています。
一切クラウドを使わずに制御できて入手性の高いスマートファンをお探しの方は購入されてみてはいかがでしょうか。
最後まで読んでくださりありがとうございました。それでは、また!
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